熊野本宮大社 牛王神符

熊野本宮大社の見どころは「どこを見るか」で変わる

熊野本宮大社の見どころを調べると、社殿、八咫烏、大斎原(おおゆのはら)と、名前がずらりと並びます。ただ、境内を実際に歩いてみると、心に残るのは名所そのものより「何を見ていたか」という視線の記憶だったりします。

この記事では見どころを一覧にするのではなく、見上げる・足元・振り返るの3つの視線に分けて、歩き方を提案します。

① 見上げる|屋根と木のつくりを眺める

檜皮葺きのやわらかな曲線

境内で最初に目を引くのは、社殿の屋根です。熊野本宮大社の社殿は、檜の皮を重ねて葺く檜皮葺きの屋根が特徴で、瓦のような硬さがなく、まわりの杉木立にすっと溶け込んでいます。

社殿の前では、少し下がって屋根の縁を見てみてください。厚みのある線が静かに反って見え、そこに時間の重なりが感じられます。

手を合わせる前に、まず全体を見る

本宮の社殿は、複数の神さまをお祀りする社が並ぶ構成です。お参りの前に一度、並びを見渡しておくと、どこで何を祈るのかが頭に入り、境内で迷いません。屋根を見上げるのは、気持ちを落ち着けるのにもちょうどいい時間です。

② 足元を見る|参道の石段と土の気配

一段ずつ上がる時間も参拝のうち

入口から社殿へは、石段をのぼって向かいます。段数や所要時間にとらわれず、足元の石の表情や、杉の根が張る土の色に目を向けてみましょう。熊野古道を歩いてきた人なら、道の続きに入ってきた感覚があるはずです。

雨上がりは足元がいっそう味わい深い

雨のあとは石が濡れて色が深まり、森の匂いも濃くなります。ただし滑りやすいので、靴は歩きやすいものを選び、ゆっくり進んでください。急がないことが、いちばんの見どころの味わい方です。

③ 振り返る|旧社地・大斎原を思いながら

いまの場所に社殿がある理由

本宮の社殿はもともと熊野川の中洲、大斎原にありました。明治の大水害をきっかけに、現在の高台へ移されたと伝えられています。

参拝を終えたら、立ち止まって来た道や森の方角を振り返ってみてください。川のそばにあった旧社地へ思いを向けると、いまの静かな境内がまた違って見えてきます。

余力があれば、大斎原まで足をのばす

境内から大斎原までは、歩いて向かえる距離です。大鳥居の大きさと、開けた空の広がりは、森の中の境内とは対照的です。2つを続けて見ると、本宮という場所の輪郭が立体的になります。

3つの視線をつなぐ、ゆるい歩き方

1. 石段をのぼりながら足元を見る
2. 社殿の前で見上げて手を合わせる
3. 帰りに振り返り、旧社地へ思いをはせる

この順に歩けば、特別な知識がなくても、本宮らしい時間の流れを感じられます。

まとめ

熊野本宮大社の見どころは、名所を数えるよりも、視線を変えて味わうことで深まります。時間があれば、写真を撮る手を少し止めて、森の音に耳をすませてみてください。

※参拝時間や授与所の情報などは変更されることがあるため、お出かけ前に公式情報で最新の内容をご確認ください。


画像: 熊野本宮大社 牛王神符((公社)和歌山県観光連盟 より引用)