
湯の峰温泉を歩いていると、谷あいに立ちのぼる湯けむりと、ほのかな硫黄の香りに迎えられます。その中心にあるのが、地元で「湯筒」とも呼ばれる荒湯のあたりです。ここで卵を湯に浸して温泉卵を作る時間は、旅の記憶に残りやすい体験のひとつです。
湯筒は「食べ物をゆでる源泉」
湯筒は、湯の峰温泉の湧き出す湯を身近に感じられる場所です。川沿いの小さな湯の町で、観光客も地元の人も湯けむりを囲むように集まります。見て眺めるだけでなく、卵や野菜を湯に浸して「いただく」ところに、この町の暮らしが見えてきます。
温泉卵という名前から、ふつうの卵を湯につけるだけと思われがちです。ただ、実際に作ってみると、湯気、音、においが加わり、普段の台所とはまるで違う体験になります。
作る前に整えておきたい準備
具体的な受付方法や料金は時期や運営で変わることがあります。現地の案内や掲示を見て確認するのが確実です。そのうえで、あると便利なものを挙げておきます。
- 小さなタオルやハンドタオル:湯気で手が濡れたり、卵の水気を拭いたりするときに役立ちます。
- 小銭の入った財布:現地で買い物をするときに、取り出しやすくしておくと安心です。
- 塩:持参すると食べるときの味つけに重宝します。現地で手に入る場合もあります。
- ウェットティッシュ:硫黄のにおいが手に残ることがあるので、一枚あると助かります。
足元は滑りにくい靴がおすすめです。湯けむりで周囲が濡れていることもあります。
作り方の流れ(イメージ)
基本の流れは、次のとおりです。
1. 卵を用意する(現地の案内に従って手に入れます)
2. 卵を入れ物に入れ、湯筒の湯に静かに浸す
3. 目安の時間を待つ(一般に温泉卵なら10分前後と言われますが、湯の状態で仕上がりは変わります)
4. 時間になったら慎重に引き上げる
5. 冷ましてから殻をむく
白身は少しやわらかく、黄身がとろりとした仕上がりを好む人もいれば、しっかり固まったほうが好きな人もいます。好みの固さは時間で調整できるので、何度か試して「自分の目安」を見つけるのも楽しみのひとつです。
待つ10分を「余白」にする
卵を湯に入れたら、あとは待つだけです。この時間を、ただ立ち尽くすのではなく、次のように使ってみてください。
- 湯けむりの立ち方や、川沿いの景色を眺める
- 近くの湯の町の通りをぶらりと歩く
- 同行者と、このあとの予定を話す
時間を測りたいときは、スマートフォンのタイマーが便利です。ただし、湯の近くでは落とさないようにしてください。
食べ方は「まず素のまま」から
取り出した卵は、想像以上に熱いことがあります。少し冷ましてから殻をむきましょう。最初のひと口は何もつけず、卵本来の甘みを確かめるのがおすすめです。そのあとで塩をひとつまみ。しょうゆなどを持ち込むのも一案ですが、荷物を増やしすぎない程度に。
安全のために
- 湯は非常に熱いので、身を乗り出さず、手元を確認してから作業する
- 小さな子どもは必ず大人が付き添い、柵の近くに近づけすぎない
- ほかの人も使う場所なので、順番を譲り合う
- 現地のルールや掲示は必ず守る
温泉卵が「湯の町の味」になる理由
湯筒の温泉卵は、特別な調理をしなくても、湯の力でできあがる素朴な味です。ゆっくり待って、ふうふう冷まして、塩をちょっとだけ。その一連の時間が、湯の峰温泉の旅にぴったり合います。湯上がりのおやつとして、また歩く前の軽い腹ごしらえとして、気負わず楽しんでみてください。
湯の峰温泉の歴史・湯垢離・大日越は「湯の峰温泉完全ガイド」で詳しく紹介しています。
画像: 龍神温泉 元湯((公社)和歌山県観光連盟 より引用)
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