熊野古道中辺路 牛馬童子

田辺市中辺路町で出会う、愛らしい「牛馬童子」

熊野古道 中辺路のガイドブックで、必ずといっていいほど目にする写真があります。山の道端にちょこんと座る、小さな二体の石像です。これが牛馬童子です。

場所は田辺市中辺路町。近露の集落から山道を上がった、箸折峠のあたりにあります。古くから、平安時代に熊野を訪れた花山法皇の姿を写したものと伝えられています。ただ、像そのものは比較的新しい時代に造られたとされ、いつ誰が、という細部には諸説あります。断定せずに「そう語り継がれている」と受け取るのが、地元流の楽しみ方です。

幼い子どもが牛や馬にまたがるような姿で、表情はどこか柔和。千年前の巡礼の道に、ふっと肩の力が抜ける温かみを添えてくれます。

起点になる「近露王子」とはどんな場所?

牛馬童子を目指すとき、起点になりやすいのが近露王子です。熊野古道沿いに点在する「九十九王子」のひとつで、近露の集落の入口近くにあります。

王子社の役割や全体像は、当サイトの「王子社とは?」「九十九王子一覧」の記事でも触れています。近露王子は、そうした参詣道の「小さな社」を実際に目にする入門編にちょうどいい場所です。

熊野本宮大社をめざした昔の人々も、ここで一息ついたはずです。そう想像しながら手を合わせると、これから歩く道への気持ちが整います。

近露王子から牛馬童子へ|歩き方の目安

近露から箸折峠へは、杉や檜の林の中を進む山道が中心です。急な岩場が続く区間ではなく、中辺路の中でも比較的歩きやすい部類として知られています。

歩く時間と体力の目安

片道の所要時間は、休憩や写真撮影を含めて1時間半〜2時間ほどを見ておくと余裕があります。体力や天候で大きく変わるため、あくまで目安です。

半日で楽しむ流れ

1. 近露でゆっくり集落の雰囲気を味わい、近露王子に参拝する
2. 古道を上って箸折峠方面へ進む
3. 牛馬童子の前で小休止し、写真を撮る
4. 同じ道を戻る、または先の区間へ進む

往復にするか、その先の継桜王子や野中方面へ足をのばすかは、バスの時間と体力次第です。迷ったら、無理のない往復にして、帰りの時間に余裕を残しましょう。

歩く前に知っておきたい準備

なお、山道では電波が届きにくい場所もあります。地図は事前に保存しておくと安心です。

小さな石像が教えてくれる、中辺路の魅力

中辺路には、滝尻王子や熊野本宮へ続く名所がたくさんあります。そのなかで牛馬童子は、派手さではなく「親しみ」で記憶に残る存在です。

険しい山道の先に、小さな童子が静かに待っている。その佇まいに触れると、古道が単なるハイキングコースではなく、祈りと暮らしが重なってきた道だと実感できます。

田辺市中辺路町の山里で、近露王子から牛馬童子へ。まずは半日、肩の力を抜いて歩いてみてはいかがでしょうか。熊野古道 中辺路の入口として、きっと心に残る時間になります。


画像: 熊野古道中辺路 牛馬童子((公社)和歌山県観光連盟 より引用)