熊野古道中辺路 高原

滝尻王子は「歩き出す場所」である前に「入口」

熊野古道を滝尻王子から歩き始める人は多いですが、ここは単なるスタート地点ではありません。かつて熊野詣の旅人は、この場所を熊野の聖域へ入る境目と考えていました。岩田川のほとりに社が建ち、背後には岩壁がそびえます。まず手を合わせてから歩き出すと、同じ道でも少し気持ちが変わります。

滝尻王子から始まる最初の登りの性格

滝尻王子から先は、いきなり山の中へ入っていきます。序盤から登りが続くので、「古道は平らな石畳をのんびり歩くもの」というイメージとは少し違うかもしれません。

最初の30分は「速く歩かない」が正解

出だしで飛ばすと、後半の脚に響きます。ここは我慢して、ゆっくり山に体をなじませましょう。

道中の見どころを知っておく

胎内くぐり

滝尻王子の近くには、岩の間をくぐる「胎内くぐり」と呼ばれる場所があります。生まれ変わりの儀式のように語られ、熊野が「よみがえりの地」といわれる理由を感じさせるスポットです。通行できるかどうかや状況は時期によって変わることがあるため、現地の案内表示で確認してください。

乳岩(ちちいわ)

石灰岩の大きな岩が張り出した場所で、名前の由来には諸説あります。霊験にまつわる言い伝えもあり、足を止めて見上げるだけで古道の雰囲気が伝わってきます。写真休憩にもちょうどいいポイントです。

高原(たかはら)の集落と熊野神社

登りを越えると視界が開け、高原の景色が広がります。ここにある高原熊野神社の大楠は、遠くから眺めても存在感があります。山里ののどかな空気を感じられ、「登ってよかった」と思える場面です。

滝尻王子から歩くときの心づもり

営業中の施設や交通機関の情報は変わることがあるため、出発前に最新の情報を確認してください。

入口を丁寧に歩くと、旅の輪郭がはっきりする

熊野古道を滝尻王子から歩く魅力は、ここから「熊野の世界に入っていく」感覚を味わえることです。最初の登りは少しきついものの、その分、高原に着いたときの開放感はひとしおです。のんびり、ひと呼吸ずつ、聖域の入口をくぐってみてください。


画像: 熊野古道中辺路 高原((公社)和歌山県観光連盟 より引用)