熊野古道中辺路 大門坂

熊野古道のサンダルは「歩く道具」ではなく「休ませる道具」

「熊野古道 サンダル」と検索する方の多くは、暑い季節に涼しく歩けないか、あるいは荷物を減らしたいという気持ちをお持ちではないでしょうか。

結論から言うと、古道そのものを歩く履物としては、サンダルはおすすめしにくいというのが地元の感覚です。ただ、サンダルがまったく不要というわけではありません。歩いたあとの足を休ませる「第二の足」としては、なかなか頼もしい存在です。

なぜ古道でサンダルは難しいのか

石畳と苔、濡れた斜面

熊野古道には、苔むした石畳や段差の大きい下り坂が続く区間があります。杉木立の中は、晴れていても湿り気が残りがちです。足の甲やかかとを固定できないサンダルだと、足を置いた瞬間に滑ったり、ひねったりしやすくなります。

小石・木の根・虫への無防備さ

山道では、小石や枝、木の根が思いがけず足先に当たります。つま先や甲が露出していると、ちょっとした接触でも痛みや傷につながります。梅雨から夏にかけては虫も気になる時期なので、足元を覆える靴のほうが安心です。

「少しだけ」のつもりが長くなる

古道は、入口付近だけ歩くつもりが、景色や雰囲気に誘われて想定より奥へ進んでしまうことがよくあります。サンダルで入って引き返しづらくなるより、最初から靴で入るほうが気持ちに余裕が生まれます。

それでもサンダルを持っていく価値

歩き終えた足を「ほどく」一足に

長く歩いた足は、靴の中でむくみ、熱を持っています。休憩所やバス待ちの時間、宿に着いた瞬間にサンダルへ履き替えるだけで、足の疲れの抜け方が違ってきます。

温泉町や宿での移動に便利

熊野には温泉地が点在し、湯上がりに町を少し歩きたくなる場面が多くあります。濡れた足に登山靴は戻したくないものです。そんなとき、軽いサンダルが一足あると気持ちよく動けます。

持っていくサンダルの選び方3条件

1. かかとを留められるストラップ付き

ビーチサンダルのような指で挟むタイプより、かかとのベルトがあるタイプのほうが歩きやすく安全です。宿から駅やバス停まで歩く場面でも安心です。

2. 濡れても気にならない素材と、溝のあるソール

雨の日や温泉地の濡れた路面では、ソールの溝が頼りになります。水に強く、乾きやすい素材なら、荷物の中でも扱いやすいでしょう。

3. 軽くて、ザックの外側にも付けられる

履き替え用として持つなら、荷物を重くしないことが大切です。ザックの横や下に留められる程度の軽さを目安にすると、負担になりません。

履き替えのタイミングの目安

なお、川辺に足を浸す場面でも、水量や流れ、足場の状況は日によって変わります。無理に入らず、周囲の状況を見て判断してください。

まとめ:サンダルは「歩いたあとの自分」への贈り物

熊野古道では、道を歩く靴にこそ頼り、サンダルは足を休ませるための一足として持つのが、心地よい付き合い方です。

歩く時間と休む時間を道具でも切り替えてあげると、旅の後半まで足が軽く、熊野の景色や湯をゆったり味わえます。次に古道へ行く際は、ザックの片隅に軽いサンダルを一足入れてみてはいかがでしょうか。


画像: 熊野古道中辺路 大門坂((公社)和歌山県観光連盟 より引用)