
熊野古道は、紀伊半島の深い山を歩く道です。苔むした石畳や杉木立の景色は、しっとり濡れた日にこそ味わいが深まります。ただ、雨の山道では「濡れない」ことと同じくらい、「蒸れない」「滑らない」ことが大切です。レインウェアは、その両方を支える装備として選びたいところです。
基本のおすすめは「上下セパレート型」
熊野古道を歩くなら、上着とパンツが分かれたセパレート型が最も安心です。理由は三つあります。
- 登りでは体が熱くなるので、上だけ脱ぐなど調整しやすい
- 風が吹いても裾がめくれにくく、足を上げる動作の邪魔にならない
- 石段や段差で、足元に生地がからみにくい
ポンチョや傘はどう使い分ける?
ポンチョは着脱が簡単で、ザックごと覆える手軽さが魅力です。一方で風にあおられやすく、段差の多い道では裾が気になる場面もあります。短い区間や、雨が小降りの日の予備として考えるとよいでしょう。
傘は、森の中の緩やかな区間では活躍します。ただ、石畳では両手が使えるほうが安心です。杖やストックを使う人は特に、傘に頼らずレインウェアを軸にするのがおすすめです。
選ぶときの4つのポイント
1. 透湿性があるか
雨をはじく力だけでなく、内側の汗を逃がす「透湿」をうたう素材が歩きやすさを左右します。梅雨や秋雨の時期は気温が高めで、汗でびっしょりになりがちです。
2. フードが視界をふさがないか
つば付きや、顔の動きに合わせて動くフードだと、下り坂で足元を確認しやすくなります。試着の際は、ザックを背負ってフードをかぶってみてください。
3. 裾と袖口を調整できるか
パンツの裾が長すぎると、石段で踏んでしまうことがあります。裾の長さを調整でき、足首まわりを絞れるタイプが安心です。袖口も、手首の動きに合わせて調整できるものが便利です。
4. 目立つ色か
霧や薄暗い杉林では、周囲から見つけやすい明るい色が安心材料になります。写真にも映えます。
着るタイミングは「降り出す前」
レインウェアは、濡れてから慌てて着るより、ぽつぽつ来た時点で羽織るほうが体温を守れます。ただし着たままで登ると蒸れやすいので、休憩ごとにファスナーを開けて熱を逃がしましょう。
合わせて持ちたい小物
- ザックカバー(さらに中身は袋にまとめておくと安心)
- 替えの靴下と、濡れ物を入れるビニール袋
- スマートフォンや地図を守る防水ケース
雨の日は「歩かない判断」も装備のうち
どんなに良いレインウェアでも、石畳や苔の道は滑りやすくなります。足元は一歩ずつ、ゆっくり進みましょう。天気や体調に不安を感じたら、引き返したり、バスで移動したりする選択肢も持っておくと安心です。
雨の熊野古道は、緑が深まり、音までしっとり落ち着く時間です。自分に合った一着を用意して、濡れた森の静けさも旅の思い出にしてみてください。
画像: 熊野古道中辺路 大門坂((公社)和歌山県観光連盟 より引用)
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