熊野古道

熊野古道の虫除けは「相手の名前」を知ると楽になる

苔むす石畳、杉木立の湿った空気。熊野古道の魅力は、そのまま虫たちの暮らしやすさでもあります。「虫除けスプレーを一本」で済ませたくなりますが、山道で出会う相手は一種類ではありません。

相手ごとに「どこを狙われやすいか」「いつ近づくか」が違います。名前と癖を知っておくと、荷物も気持ちも軽くなります。

5つの相手と、基本の備え方

蚊:足を止めた瞬間に寄ってくる

歩いている間は意外と寄ってきませんが、休憩や王子の前で写真を撮っている間に集まります。足首・首まわり・手の甲が狙われやすい場所です。

ブヨ(ブユ):刺されたあとに腫れやすい

水辺や沢の近くで多く、足元や露出した肌を狙います。刺されたときは気づきにくく、あとから痒みや腫れが出ることがあります。川や水の音が近い場所では、休憩の前に肌の露出を見直しましょう。

アブ:汗と動きに反応する

夏の暑い時間帯に、頭や首のまわりを飛びます。帽子をかぶり、首元をタオルや襟で覆うだけでもだいぶ違います。

ヤマビル:湿った時期は足元を点検

梅雨どきや雨上がりなど、地面が湿っている時期は足元への注意が必要です。生息状況は場所や年によって異なるため、行く区間の最新情報を観光案内所などで確かめておくと安心です。

ハチ:「刺激しない」が最大の対策

香りの強い整髪料や香水は控えめにし、近づいてきても手で払わず、静かにその場を離れます。黒っぽい服より、明るい色の服のほうが落ち着いて歩けます。

虫除け剤を使うときの3つの作法

1. 成分表示を確認する:ディートやイカリジンなど、年齢や使用回数の目安が商品ごとに定められています。表示に従いましょう。
2. 手に出してから塗る:周囲の草木や石畳、同行者に向けて噴霧しないほうが安心です。顔は手のひらに取って塗ります。
3. 塗り直しを前提にする:汗で落ちるので、休憩のタイミングで塗り直すと効果的です。日焼け止めを先に、虫除けをその上から使うのが一般的な順番です。

山の中では蚊取り線香などの火気は使わず、吸い殻や使用済みシートも必ず持ち帰ります。世界遺産の道を歩く、ささやかな心づもりです。

刺された後の「小さな備え」も荷物に

とくにハチに刺された経験のある方は、事前にかかりつけ医に相談しておくと安心です。

虫除けは「気にならない状態」を作る道具

虫が気になると、せっかくの苔や木漏れ日も目に入らなくなります。長袖・長ズボンという物理的な防御に、虫除け剤をひと塗り。立ち止まる場所では足元を見る。この3つがあれば、あとは古道の空気に集中できます。

小さな備えを整えて、気持ちよく歩き出しましょう。


画像: 熊野古道((公社)和歌山県観光連盟 より引用)