熊野古道中辺路 大門坂

熊野古道の8月は「歩く」より「しのぐ」季節

深い杉木立の中を歩く熊野古道は、真夏でも日なたの街より涼しく感じる場面があります。ただし8月は、気温だけでなく湿度も高く、汗が乾きにくい季節です。涼しさを期待しすぎると、思いのほか体力を使います。

そこでこの記事では、[熊野古道](/articles/daimonzaka-trail-kumano-kodo-nachi) 8月の歩き方を「どこまで歩くか」ではなく、「暑さをどこでやり過ごすか」から考えてみます。

8月の古道で知っておきたい3つの空気

蒸し暑さは「止まったとき」に来る

木陰の登りは風が通りにくく、歩いている間は汗がどんどん出ます。休憩で止まった途端にどっと暑さを感じる人も多いはずです。休む場所は、できるだけ風が抜けるところや日陰を選ぶと、回復が早くなります。

夕立は「突然」を前提に

山あいの夏は天気が変わりやすく、午後に急な雨が降ることがあります。石畳や土の道は濡れると滑りやすくなります。雨具は小さくたためるものを一枚、ザックの取り出しやすい位置に入れておきましょう。

台風・大雨の時期でもある

8月は台風の影響を受けることもあります。天気予報や交通機関、道の状況は出発前に必ず確認し、無理だと感じたら延期する判断も旅の一部です。

歩く前に決めたい「3つの逃げ場」

1. 木陰の逃げ場

地図を見るとき、距離だけでなく「日陰が多そうな区間」「集落や休める場所がある区間」に目を向けてみてください。杉林の中は比較的過ごしやすいですが、開けた場所では日差しが強く感じられます。帽子や首元を覆うタオルがあると安心です。

2. 水分の逃げ場

8月は「足りなくなってから買う」では間に合わないことがあります。出発前にしっかり飲み、歩きながら少しずつ補給する習慣を。汗で塩分も失われるので、塩分補給できる行動食を一緒に持つと心強いです。

3. 引き返す逃げ場

「ここまで来たから」と無理を重ねるのが、夏の山歩きで一番危ない考え方です。頭痛、めまい、吐き気、汗が急に止まるといった様子があれば、日陰で休み、無理せず引き返しましょう。同行者がいる場合は、お互いの顔色を声かけで確かめ合うのもコツです。

時間の使い方は「涼しい時間を主役」に

夏は、朝のうちの涼しい時間帯を中心に歩き、暑さが増す頃には歩き終える、または休憩を厚めにとる組み立てが現実的です。日が長いぶん夕方まで歩けそうに感じますが、暑さの疲れは午後に出やすいもの。予定は少し控えめに組みましょう。

夏ならではの備え

歩いたあとのご褒美を決めておく

暑い日ほど、「歩き終えたらこれをしよう」という楽しみがあると頑張れます。冷たい飲み物でほっとひと息ついたり、温泉でゆっくり汗を流したり。熊野は温泉地も多く、夏でもぬるめの湯なら心地よく過ごせます。体が疲れているときは、長湯を避け、水分をとりながら休むのが基本です。

まとめ

熊野古道の8月は、決して「歩けない季節」ではありません。ただし、暑さと天気の変化を甘く見ないことが大前提です。木陰・水分・引き返す判断という3つの逃げ場を先に決めておけば、緑の濃い夏の古道を、安心して味わえます。蝉の声と木漏れ日の中、いつもより少しゆっくりしたペースで、夏の熊野を歩いてみてください。


画像: 熊野古道中辺路 大門坂((公社)和歌山県観光連盟 より引用)