阿須賀神社 秋祭

新宮の町なかに、海の向こうの物語がある

熊野速玉大社や神倉神社を目当てに新宮を訪れる方は多いのですが、町なかには、もうひとつ小さな物語の入口があります。それが「徐福公園(じょふくこうえん)」です。

中国の秦の時代、始皇帝のために不老不死の薬を探して海を渡った人物・徐福。その徐福が最後にたどり着いた先が熊野だったと、新宮では語り継がれてきました。

徐福伝説をざっくり予習

伝説のあらすじは、おおよそ次のとおりです。

徐福伝説は日本各地に残っており、新宮はそのひとつです。どこが「本当の到着地」かを決めるより、土地ごとに大切に語り継がれてきた物語を味わうくらいの気持ちで訪ねるのが、ちょうどいい距離感だと思います。

徐福公園の歩きどころ

公園に入ると、中国風の意匠が目に入り、熊野の古社とは少し違う雰囲気が漂います。海の向こうとのつながりを感じさせる造りで、「ここは異国の物語の舞台なんだな」と気分が切り替わります。

園内には、徐福の墓と伝わるものもあります。史実として確かめるというより、千年単位で人々が手を合わせてきた場所として静かに眺めてみてください。大きな観光施設ではないので、ゆっくり見ても慌ただしくならないのも魅力です。

※開園時間や入園方法などの詳細は、訪問前に新宮市などの公式情報でご確認ください。

セットで歩きたい阿須賀神社と蓬莱山

徐福公園のすぐそばには、阿須賀(あすか)神社があります。背後の小高い山は「蓬莱山」と呼ばれ、徐福が目指した仙境の名前と重なっているのが興味深いところです。

熊野速玉大社と深いゆかりを持つ古い信仰の場とも言われ、周辺では古代の暮らしの痕跡が見つかっているといわれます。伝説と信仰が地続きになっている感覚は、新宮ならではです。

歩く順番の一例

1. 新宮駅から町なかを歩いて、徐福公園へ
2. 隣り合う阿須賀神社で参拝し、蓬莱山のふもとの空気を味わう
3. 余裕があれば熊野速玉大社へ足を延ばす

駅から歩いて回れる範囲なので、電車旅の合間にも組み込みやすいルートです。

熊野の「甦り」とつながる物語

熊野は古くから「黄泉の国」とも「甦りの地」とも言われてきました。不老不死を求めた徐福の物語が、この土地に根づいたのも、そうした空気と無関係ではなさそうです。

熊野の旅に出る前に、徐福の名前を頭の片隅に置いておくだけで、新宮の町の見え方が少し変わります。派手さはありませんが、旅の余韻が深くなる、静かな寄り道スポットです。

まとめ

新宮を訪れた日に、半歩だけ寄り道してみてください。


画像: 阿須賀神社 秋祭((公社)和歌山県観光連盟 より引用)