
近露王子〜継桜王子は「水」でつながる区間
熊野古道・中辺路には王子が点在しますが、近露王子から継桜王子までは、水の気配をたどる区間として歩くと印象に残ります。スタート地点の近露は川沿いに開けた山あいの集落、ゴール側の野中は、昔から清水と大きな杉で知られる里です。
峠越えのような派手な見せ場はありません。そのぶん、山里の暮らしの中に古道が溶け込む様子を、ゆっくり味わえる区間です。
区間の流れをざっくりつかむ
スタート:近露王子と近露の集落
近露は、かつて参詣者が行き交った宿場の面影を持つ集落です。近露王子は、そのはずれに静かに佇んでいます。歩き出す前に、川の音と集落の空気を少し感じておくと、道の見え方が変わります。
道中:舗装路と山道が交互に現れる
この区間は、集落の道、杉林の山道、舗装された里道が交互に現れます。途中には他の王子や茶屋跡もあるので、案内板を読みながら進むと、「ここが昔の休憩地だった」と想像しやすくなります。距離は目安として5〜6km前後とされることが多いですが、道の付け替えや寄り道で変わるため、最新の案内で確認してください。
ゴール:継桜王子と野中の清水
継桜王子の周辺は、大きな杉(一方杉)が立ち並ぶ、野中の里のシンボル的な場所です。近くには湧き水の「野中の清水」があり、名水として親しまれています。歩いてきた体に、水の存在がありがたく感じられる場所です。
王子の脇にあるとがの木茶屋周辺は、ひと休みの拠点になります。営業日や提供内容は時期で変わることがあるため、立ち寄る予定なら事前に確認し、飲み物は自分でも少し持っておくと安心です。
この区間を歩くときの3つの心づもり
1. 歩く向きを決めておく
近露から継桜へ向かう形は、中辺路の巡礼の流れから見ると滝尻側へ戻る向きです。逆向きでも、道しるべは整っています。大切なのは、ゴールで清水と杉を見ながら休めるという組み立てを意識することです。起点・終点どちらに交通の便があるかは、後述のバスの確認とあわせて決めましょう。
2. 「通過する場所」を急がない
見どころを点で数えるより、集落、杉林、里の景色、水と、道の移り変わりを楽しむ区間です。写真を撮る時間と、案内板を読む時間を、余白として最初から入れておきましょう。
3. 帰りの足を先に確かめる
バスの本数は多くない地域です。運行日や時刻は季節や曜日で変わるため、乗る予定のバス停と時刻は、出発前に必ず最新の情報で確認してください。バスに間に合わなくなる前提で、休憩を短くしすぎないのが、気持ちよく歩き終えるコツです。
歩き終えたあとの余韻
継桜王子の杉の下で、野中の清水の冷たさを思い出しながら歩いてきた道を振り返ると、「川の集落から水の里へ」という流れが、一本の物語のように感じられます。派手さより静けさを味わいたい人に、おすすめの区間です。
初めて中辺路を歩く人も、ほかの区間の合間に1区間だけ足してみると、山里の熊野古道の表情に出会えます。
画像: 熊野古道中辺路 継桜王子((公社)和歌山県観光連盟 より引用)
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