荒船海岸

すさみ町のフェニックス褶曲とは?

熊野古道や温泉のイメージが強い南紀ですが、海沿いには「大地の成り立ち」を間近に見られる場所があります。その代表格が、すさみ町のフェニックス褶曲(しゅうきょく)です。

褶曲とは、もともと水平に積み重なっていた地層が、横から押されて波のように曲がった状態のこと。フェニックス褶曲は、曲がった地層の筋が、南国のフェニックス(ヤシ)の葉が広がるように見えることから、この名で親しまれています。岩肌に刻まれた曲線を見ると、固いはずの岩が「しなやかに曲がる」という不思議さに驚かされます。

南紀熊野ジオパークの中での位置づけ

すさみ町を含む南紀熊野ジオパークは、地層や岩の形、海と山の暮らしを「大地の物語」としてつなぐエリアです。この一帯の地層は、遠い昔の海底に積もった砂や泥が、プレートの動きで押し寄せられ、陸地の一部になったものと説明されます。フェニックス褶曲は、その力のかかり方を目で確かめられる、わかりやすい見本です。

地層の見方:3つのポイント

1. まず「縞(しま)」を探す

砂っぽい層と泥っぽい層が交互に重なると、岩肌に縞模様が現れます。まずはこの縞を目で追いましょう。

2. 曲がり方の「山」と「谷」を見る

縞が上に盛り上がる部分、下にたわむ部分を見つけると、押された方向を想像しやすくなります。

3. 少し離れて全体を眺める

近づくほど細部は見えますが、うねりの大きさは少し引いたほうが伝わります。写真を撮るときも、距離を変えて数枚残すのがおすすめです。

ガイドと歩くと見え方が変わる

地層は、知識があるほど「読める」景色です。南紀熊野ジオパークでは、地域のジオガイドが案内してくれる機会があります。実施の有無や申し込み方法はその時々で異なるため、事前にジオパーク関連の窓口やすさみ町の観光案内で確認してから出かけましょう。説明を聞きながら歩くと、ただの岩が「何千万年もの時間の記録」に変わります。

歩く前の心得

旅の組み立てヒント

すさみ町は、白浜方面と串本方面のあいだにあり、海沿いのドライブとも相性の良い町です。地層を見たあとは、海辺の景色を眺めたり、地元の海の幸に立ち寄ったりと、ゆったり過ごす一日にしてみてください。熊野古道の「歩く旅」と組み合わせれば、信仰の道と大地の歴史、二つの時間軸を一度に味わえます。

曲がった地層の前で、静かに大地の時間に思いをはせる。そんな少しマニアックで奥深い寄り道が、南紀の旅をもう一段おもしろくしてくれます。


画像: 荒船海岸((公社)和歌山県観光連盟 より引用)